2012/04/29

バジェのぶどう収穫祭とエントレ・リオスでの静修




あっという間に4月へ突入・・・
なんだかこんな言葉で始めることが多い気がするけれど。
これが本当にそのままの気持ちだから。
歌の歌詞にありました。
「旅立つ日がくるなら、せめてこの時間よ、とまれとはいわないから、ゆっくりすすめ。」
タリハを引き上げる日6月18日へ向けて時間が刻々と過ぎていきます。
友人達、一緒に働く先生達、大家さん・・・いろんな人達との会話に、この日の影がちらちら。




168年の歴史
去っていった3月。奇しくも3月11日はバジェのVendimia、葡萄収穫祭でした。1週間にわたる祭りの最終日。ぶどう農園やワイン醸造所が小さいところも大きいところもこぞってスタンドを並べ、ブドウやワイン、手工芸品を並べます。食べ物の屋台もずらりで大勢の人々がやってきます。前日夕方5時友人Ceciliaと2人バジェへやってきました。Cecilia(セシリア)の家族やもうすでに出来あがってる他の友人たちと合流。私のお目当ては前夜祭に出演予定のLos Kjarkas。村の運動場?Cancha(カンチャ)へぷらぷら入っていくと、何やら演奏しているグループが。あれ、聞き覚えが、と思っていると、Los Kjarkasがリハーサル中でした!終わったころに友達と出口のあたりへ出かけるとちょうどメンバーがいました。私は何を思ったかまことさんをお茶に誘ってしまい(夜中11時からのコンサートを控え、明日はサンタに帰るという人に思わず・・・ワインのせいです。)、それを聞きつけたメンバーの長老格エルメスが自分の電話番号を教えてきたりして、友人たちは大喜びでした。(もちろん、リップサービスで,電話がかかってきたわけではありません!)


そんなこんなで夕食をあちこちで食べ歩きした後、10時半ごろ再度コンサート会場へ入りました。演奏するのは4グループ。3番目がLos Kjarkasで会場へ入って少しすると、彼らのステージが始まりました。ワインをまわし飲みながら歌って、踊って。今さらだけど、タリハではたとえ踊っている最中でもワインやシンガ二のグラスがあちこちでまわっています。1口でも全てでも、飲みたいだけ飲み、もちろん飲み干した場合はつぎたしてから、近くの人と目を合わせて”Te invito"か”Salud”といって1口飲んでからグラスを渡します。渡された人も同じことをします。こうしてグラスが次々回ってくるから、私なんかはひとくち飲んだら十分、すぐ次にまわします。時には口をつけるだけ。また踊っていると回るのも早い早い^^




夜中2時過ぎ、Los Kjarkasの後、Vale4というアルゼンチンのグループが歌って、コンサートは終了しました。この夜は友人Michelito(ミチェリト)とKelly(ケリー)の住む宿舎に泊めてもらいました。翌日起きたのは8時半。庭ではKellyが旅の途中で拾ってから世話している小鳥bebe(赤ちゃんだから、べべ)を日光浴させていて、彼女とコーヒーとパンの簡単な朝食をとりながらおしゃべりをしていると、次々みなが起きだしてきました。思い思いにハンモックや椅子に座って優しい日差しとタリハの田舎らしい光景を楽しみます。とそんな中Ceciliaのお父さんがノートに今の気持ちを書きだしました。詩のような形で。マテ茶とともにノートがみんなにまわされます。みんな結構哲学家で色々深いことを書いてちょっとしたディスカッションが始まったり。私はこの出会いとひと時に感謝して一期一会と書きました。そして、ちょっと迷ったすえ、震災について書きました。小さい祈りと日本へ帰ったら・・・という決意表明?を。そうしたら、みんなで自然に黙祷を捧げていました。うららかな緑の日差しの下、静かな時間でした。

Cecilia

そしてこの翌週、同期の何人かが帰国しました。実のところ3月11日はVendimiaではなく、本当は日系移住地サンファンへ出かけているはずでした。それが近く町ヤパカニで行われている道路封鎖のため行けなかったのです。サンファンで仲間が主催した祭り「和」。これも震災から1年を意識したものでした・・・。震災を経験した日本。同期を見送りながら、帰っていく日本はどう変わっているのだろうと考えました。そして、彼らのプレゼンを聞きながら、自分の仕事を振り返って残り期間頑張ろうとも思ったのです。それは一年前の決意でもあります。遠く離れて寄付をすること、手紙や写真を送るくらいしかできず、情報もだんだんと入らなくなってくる中、できるのは今の自分の仕事を頑張ること、たくさんの人と交流して丁寧に付き合うこと。そして日本に帰った後は、たとえどんな小さな形ででも、なにかをしたいという決意。そして探してみれば、小さな形でできることは本当にたくさんあるのです。

さて、3月の職場。年度当初からざわざわしています。いつ行われたか忘れてしまったほどだいぶ前(12月だった?)に行われた校長になるための筆記試験。結果がでないうちに新学期に突入。カーニバルが終わった頃にようやく点数がでました。そして3月14日、行われたのがcalificación de expediente(関係書類の評価)。これまでの経験や関わったプロジェクトを書類の形で提出、それを元に面接試験が行われます。この結果が23日にでました。そして、26日誰がどの学校の校長になるかが決まったのです。点数の高い校長希望者から順番に行きたい学校をとっていく方式。学期半ばで校長大移動・・・。4月、日本だったらとても区切りがよいのだけど!?と思いながら、この交代劇を見守りました。仕事先の学校の校長が変わらないことを願いつつ。今回私のカウンターパート、Ilsen(イルセン)も校長として出ることになりました。共に仕事をするということはなかったけれど、研修で日本に行ったことがあって、ボリビアに来た時から空港へ迎えに来てくれ、なにかと世話をやいてくれたイルセンがいなくなるのは少し寂しいことです。

そんなわけで、3月最後のイベント、活動先の学校Humberto Portocarrero2の先生達と行くRetiro Espiritual(精神の静修、カトリック教会傘下にあるFe y Alegriaの学校らしい行事)。27日夜出発のこの小旅行に出かけるときには校長はこの学校の教員でもあった若い先生、Jaena(ハエナ)に変わっていました。木曜日に学校に行った時にはこのRetiro Espiritualに来るんだぞと言ってくれていた前校長は結局きませんでした・・・。当然ながら校長交代には悲喜こもごも色々な思いが交錯するのです。新しい学校への移動の準備もあるはず。実はこの後、活動している学校の1つLa Salleで、別の活動先の学校Teresa de Calcutaの校長先生が6年生を受け持っているのを見た時はびっくり。La Salleへ来てほしいと誘ってくれたSonco先生がTeresa de Calcutaの校長になっていました。

右から二人目が新しい校長先生ハエナ

さて、このRetiro Espiritual。2泊2日とはいえ、ボリビア人と宿泊つきの旅行をするのは初めて。ちょっとどきどきです。泊り先はEntre Rios(エントレ・リオス)から少しいったところにある田舎の家らしいと聞いたのみ。タリハから3時間ほど離れた村です。夜7時半。16名の教員と大量の食糧(じゃがいもの大袋とか)を詰め込んで、借り上げたミクロはよたよたと出発しました。エントレ・リオスへの道はガードレールなし、絶壁続きのすごい道、酔い止めを飲んで備えたけど、あまりのよろよろぶりに危険を感じることもありませんでした。結局4時間ほどかけて着いた田舎の家。16人が宿泊するには小さすぎることがわかって急遽、エントレ・リオスの村中にある先生の1人の知り合いの家に宿泊することになりました。この時にはすでに夜中12時を回っていました。このアバウトさは、やっぱりボリビア?そしてなんとかなってしまうのもボリビアらしいかもしれません。

翌日朝早くミクロに乗り込んで田舎の家(用務員さんのおばあさんの家でした)へ行きました。まず初めにしたのが昼食準備。その家ではちょうどピーナッツの収穫が行われていて、少しお手伝い。そして収穫したばかりのピーナッツを使ってSopa de Mani(ピーナッツスープ)とサラダを作りました。ボリビアの人達はほとんどまな板を使いません。みんなトマトやじゃがいもを手で持ちながら上手に切っていきます。田舎の家にはミキサーなどないから今でも昔ながらの方法で石をつかってピーナッツをつぶしていきます。家の外では男性陣がParillada(バーベキュー)の準備。火をおこし、牛肉や鶏肉がどーんと並べられていきます。このバーベキュー、ボリビアに来たころはあまりの肉の量に目を見張ったものだけれど、今はもう慣れたもの。この人数でこの量は少ないのではと心配したくらい。(ちゃんと大2弾がありました。)

そして昼食準備が一段落した頃、この旅のメインであるところの静修の時間がもたれました。宗教担当のNeli(ネリ―)が机の上に聖書を開き、ろうそくをともします。聖書の一ヶ所やネリ―の用意した短い話を読み、それについて感じたことを各々が述べていく、そんな形ですすみました。「70歳まで生きるワシは40歳になると体が衰え、飛べなくなり、食べ物を捕ることができなくなる。このまま死ぬか、150日間の痛みを伴うプロセスを経て新生するか、選ばなければならない。新生することを選んだ場合、飛ぶ必要のない高い山へ行く。そこで嘴を岩に打ち付けておとし、新しい嘴が生えてくるのを待つ。次にその嘴で爪をすべて引き抜き、新しい爪が生えてくるのを待ち、さらに以前の羽を全て抜く。5ヶ月後に羽が全て生えそろうと次の30年を生きぬくことができる。」

La renovacion del Águila
El águila es el ave de mayor longevidad de la especie. Llega a vivir 70 años, pero para llegar a esa edad, deberá tomar una seria decisión.  A los 40 años, sus uñas están apretadas y flexibles, sin conseguir tomar las presas de las cuales se alimenta.  Su pico, largo y puntiagudo se curva, apuntado contra su pecho.  Sus alas están envejecidas y pesadas y sus plumas, gruesas.  Volar se hace tan dificil...  Entonces el águila tiene solamente dos opciones: morir o enfrentar un doloroso proceso de renovación, que dura 150 dias.  Este proceso consiste en volar a lo alto de una montaña y quedarse allí en un nido cercano a un paredón, en donde no tenga necesidad de volar.  Después de encontrar ese lugar, el águila comienza a golpear su pico en la pared, hasta conseguir arrancárselo.  Después de arrancarlo, debe esperar el crecimiento de uno nuevo, con el que desprenderá una a una sus uñas.  Cuando las nuevas uñas comienzan a nacer, empezará a desprender, sus plumas viejas.  Después de cinco meses, sale para el famoso vuelo de renovación y para vivir los siguiente 30 años.  Es tiempo de cambiar!... Comienza tu!

1時間ほどの静修。2泊2日の小旅行の中で占めている時間は決して長くはないけれど、こういう時間を学校の先生たちがもつのはとても大事なことだと思いました。もちろん、全員が参加しているわけではなく、またカトリックという特定の宗教のもとで持たれた時間ではあるけれども、飲んで踊って共有する時間とはまた違う時間です。

そして当然ながら!?出来あがったスープ(おいしかった!!)とサラダ、肉をたくさん食べた後は、踊ります!ボリビアにきて印象的なのはどんな質素な村の祭りでも、個人の家で行われるパーティーでもでっかい音響装置が準備され、音楽が大音量で鳴り響くこと。この日は午後中、そしてエントレ・リオスの宿泊先に戻った後も踊りがつづいたのでした。寝る頃には足が筋肉痛><。さて、宿泊先は普通の家。当然16人もの先生が寝る場所があるはずもなく、男性陣は庭にテントをはり、女性陣は玄関近くの8畳ほどの部屋に寝袋をひいてごろ寝です。この夜は女性陣だけの部屋で、とはいっても踊りにつれだそうと、男性陣やらその友人やらがうろうろ出入りしていたけれど、寝袋に潜り込んで小さなゲームをしました。といっても単純、順番に真ん中においたペットボトルをまわし矛先がむいた人にボトルをまわした人が一個質問をし、当てられた人は正直に答えなければいけないというものです。質問は恋愛ネタが中心。「付き合っている人はいるか」、「恋人のどこが好きか」、「愛人はいるか」。ボリビアはシングルマザーも多いから子供の父親は誰、結婚する気はあるのか、下ネタも好きだから結構きわどい話もでてきて盛り上がりました。言葉遊びも多くて全て理解できたわけではないけど、なんとなく雰囲気です。

最終日はみんなで復活祭前の特別なミサに出かけ、そのあと再び田舎の家へいって昼食の準備。川に泳ぎに行きたい人はいってらっしゃいの言葉に数人で出かけました。水着の用意をしてきていたのは1人だけだったから、初めは足だけのつもりが、1人がこけて水につかり、別の人をひっぱりこんでと、結局服のまま泳いでびしょぬれになりました。カンカンの日差し。群れて泳ぐ小さな魚。水を飲みにくる牛たち。きれいに澄んだ川の水。チャカレラやクエッカで歌われるチャコ地方らしい風景。


こうして3月が過ぎ、何気ないタリハの日々が愛おしく思えて、少しでもゆっくり時間が進むのを願いながら、4月を過ごしています。