2010/09/14

仕事始め


                     

 9月、タリハの町ではSan Roqueの祭りが始まりました。祭りの圧巻は男性のみが踊るChuncho。昔、らい病患者が体をすべて布で覆って、踊りながら町を去った様子を表しています。でもなぜ男性だけが踊るのか?は誰も知りません。
祭りは2週間ほど続き、町のあちこちでChunchoが踊られ、Cañaの独特の音が響いています。

 ボリビアへ来て2カ月。配属先SEDUCA、タリハ県教育事務所は日本の教育委員会のような場所。同僚はそれぞれプロ意識が高く、仕事に一生懸命である一方、毎日のお茶の時間にはおしゃべりを楽しんでいます。求められている仕事は、ゴミ、水、そのほかの環境問題をテーマにした教育の普及とイベントの開催、教員研修と養成、生徒やその家族に対する環境への啓発といったところ。カウンターパートのセミナーを手伝ったり、学校の行事に招かれたり、タリハと近郊の町4つのゴミ収集を引き受ける機関EMATのアクティビティを手伝ったり、NGOや町唯一のリサイクル業者を訪ねたり・・・とするうちに、またたく間に日がすぎています。まだ自分の活動の方向性ははっきり定まっていないけれど、何ができるか楽しみになってきました。

 最近はSEDUCAから足をのばして、地域の学校に出かける日も増えています。
一番多く行っているのが近くの“Jose Manuel Belgrano” en el truno de tardeという学校。ボリビア一の敷地を持つ学校で、幼稚園、小学校、中高等学校が併設、同じ建物を午前・午後・夜と別の学校が使っている・・・という大規模なもの。休み時間ともなるとありとあらゆる子供たちがわあ~っと騒いですごいエネルギー。小学校で750人、高校を合わせると1300人あまりの生徒がいます。授業に行ったのはほんの少しだけれど、町の子らしく人慣れもしていて、質問も活発にでます。

ここではゴミの問題をなんとかしたいという小学校の校長の要望をうけて、掃除時間を導入することに。たかが掃除時間とはいえ、とにかく大きな学校で、用具もなにもない、しかも今回始めるのは午後の学校だけだから用具の保管をどうするか、先生は授業のある時間に来るのみだからいったい誰が監督するか、など問題はたくさんあります。それでも初めは協力的でなかった中高等学校の校長も始めることに賛成してくれ、まず先生向けのワークショップ、次に保護者向け、そして生徒むけとようやく日程が決まって具体化してきました。この話をEMATの人たちにしたところ、ゴミの埋め立て地で行っているワークショップの短縮版を一緒にやってくれることになりました。私もSEDUCAの人たちにスペイン語をチェックしてもらいながら、日本の掃除時間の様子、やり方、その理由を伝え、Belgranoの学校ではこのように始めてみてはどうかという提案をするプレゼンを作成。日本の同僚から送ってもらった写真が大活躍してます。クリアしなければならない問題は多いけれど、何より素晴らしいのは協力を依頼してきた校長先生Bettyの熱心さ。これがうまくいって、みんなの協力のもと、きれいな学校が保てるようになればいいなと思います。

 もうひとつはタリハの町から車で20分、Victoriaにある学校、U.E Simón Bolívar。これはBelgranoとはうって変わって小さな学校。基本的にはPrimaria(小学校6歳~14歳)は午前中、Secundaria(中高等学校15~18歳)は午後となっています。小学校高学年~高校生までのいくつかのクラスで自己紹介、日本の紹介、折り紙、日本語と英語のレッスンなどをやりました。みんな漢字にすごく興味をもっています。好きな言葉を言ってもらって、それを漢字で書いていくと大喜び。Amistadは友情 Te quieroは好き!、mamáはお母さん・・・などなど。あるSecundariaのクラスには校長先生と打ち合わせがあるから見ていてほしいと担当の先生に頼まれ、急きょ出かけました。国語(スペイン語)の時間とのことだったので、簡単な自分史を書いてもらいました。とっても素直で素敵な文がたくさん。スペルミスも結構あって、ほほえましい。弟や妹が生まれた時のこと、Santa Anaお祭りの思い出、耳にすると好きな男の子のことを考えるという歌について、お母さんに会ったことがない、いつか会いたいと思う・・・いろんなことを書いてくれました。

Simón Bolívarの学校はほんとに小さくて、人間関係もずっと密です。小さい子と大きい子が一緒に遊んでいたり、親がお金を出しあって、午後からも授業のある中高生に食事を提供していたり。生徒も学校内のことをよく知っています。1つのクラスで掃除をしようということになれば、さっさと箒をもってきて掃き始めたのにはびっくり。のどかな学校ですが、中高生ともなれば学校のない時間は働いています。10代の結婚も多く、17・8歳の生徒のクラスではこの子とこの子は夫婦、だからあの子は義理の兄弟で・・・などと言われることも。120人ほどしかいない中高生のなかで4人の女の子が妊娠中、内結婚している子は1人。学校中の子が兄弟だったり、親戚だったり、結婚していたり。特に高校生はいろんな意味で大人だなと感じます。

ここで環境教育として何ができるかは、まだ模索中。でもBelgranoではもう少し後ですることに決めたリサイクルができればと思っています。リサイクル業者に売れば、修学旅行の資金集めに校内で作ったパンを販売したりもするから、少しは助けになるかもしれません。残念ながらEMATはこの町に入ってないのでゴミ収集システムはなく、ゴミは各家庭で燃やしている状況。学校だけでなく、町のあちこちにナイロン袋がたくさんちらばってます。ゴミ問題はタリハの街中より深刻。まだ学校だけ、地域をうろうろする時間を作れてないので、散歩がてら様子を見て、いずれは学校から地域へ活動が広がればいいなと思います。

どれもこれもまだ始まったばかり。
あれもできるかな、これもしてみたいな、と頭の中でぐるぐる回るアイディアに振り回されている毎日。焦らず、ゆっくりゆっくりやって行きたいと思います。
今日は祭りの最終日。
学校は午後からお休み、職場もHorario continuo。普段の仕事は昼休み2時間半をはさんで朝8時から夜6時半までなのが、昼休みなしで午後2時に終了します。ここへ来てから自治獲得200年祭、Chaguaya、そしてSan Roqueとすでに3回目。キリスト教の聖人のお祭りはこれからも各月ごとにあちこちであるとか。Fiestaばかりだから、ボリビア人はあまり働かないんだと同僚は笑います。だから貧しいままなんだとちょっと自虐的に言ったりもするけれど、私はここの人たちのおおらかで、あくせくしていないところがとても好きです。

休憩中、リラックスする子供たち

踊りはこれから・・・真剣な表情